青森銀行記念館
2018年5月27日、青森銀行記念館を訪ねました。
資料によると、母体は堀江佐吉の設計による旧第五十九銀行の建物で明治37年に建てられました。(銀行の設立は明治12年)合併後の青森銀行の弘前支店を経て昭和40年当地に移転された「木造ルネッサンス様式の洋風建築」だそうです。
旧林家住宅は明治30年から明治40年にかけて建設されていますので、ほぼ同時期の建築物になります。外観は明治期の銀行らしくどっしりとしています。中に入ると古銭の展示や建築装飾の説明などがありました。
会議室に入ると天井にイスラム文様の金唐革紙が施されていました。見事なものです。明るい黄色みがかった地の上にチョコレート色の幾何学模様が描かれている。制作時の色は分からないが、見た印象ではとても保存状態が良いように見える。その後館内のショーケースにあった金唐革紙の切れ端を見たがこちらは白茶けていた。「天井のものは何か保存の為の手当てがしてあるのですか?」と、説明員の女性に聞いてみたが「何もしてはなくて建築当時のままです。移転時の詳しい事については館長がいないので良く分からない」とのことでした。
旅から帰って電話で館長にお話を伺ったところ、「説明員から話は聞いています。移転時の資料を確認したが、金唐革紙には何も手を加えてはありません。そもそも移転の方法は曳家ですからほとんどが建築当時のものです。」とのことでした。曳家といえば、その後に見学した弘前城の天守閣も曳家で場所を移動し、石垣の修理中でした。この地は曳家の技術が根付いているのですね。
その後、林家のショーケースの金唐革紙をよく見たが、やはり部屋のものより白茶けていた。紙なので切れ端にしてしまうと空気に触れる部分が貼ってあるものより多いから酸化、劣化が早いのもあたりまえか?と、今さらながら気づいた次第です。あの時の説明員の女性の方、ごめんなさい! K・M記