有明山神社に行ってきました。
2017年12月10日、有明山神社を訪れました。 その頃、清水好古斎(虎吉)について調べていて、松本の図書館で清水虎吉の研究者「坂下与八」氏の著書に出会いました。それには清水虎吉の作品が網羅されていて、有明山神社の神門にも彫刻があると分かったのでさっそく行ってみた・・。という訳です。行ってみると、八脚の神門があり、そこにはぎっしりと彫刻が施されていました。日光東照宮の陽明門に模して裕明門と言うそうな・・・。 十二支が彫られ、猫が彫られ、二十四孝の4話が彫られ、鉄拐仙人、蝦蟇仙人等、たくさんの彫り物で一ぱいでした。唐破風の懸魚の部分にある鳳凰は尾羽の形などに、この後に制作される旧林家住宅の仏壇の唐破風の懸魚の「迦陵頻伽」のそれを思わせるものが見られました。 二十四孝は、唐婦人(歯のない姑に自分の乳を飲ませ養った話)。郭巨(母と妻子を養うが貧しく子を埋めようとしたら黄金の釜が出た話)。 老来子(老いた両親に年を感じさせない為に子供のふりをした話)。楊香(父と山に行き虎に遇ったら自分を食ってくれと祈った話)。の四話が彫られている。 鉄拐仙人は体から魂が抜け出てどこかに行き、帰ってきたら体が焼かれてしまっていたので、死にそうな乞食の体に入った仙人の話。 蝦蟇仙人は蝦蟇になって泳いで見せた仙人の話。鉄拐仙人は中国八仙(八仙人)の一人で、蝦蟇仙人は八仙ではないが、日本では蝦蟇鉄拐図等と並べて描かれる事が多い。 これを見ると、古代中国の故事や説話、仙人の話などが、立川流の伝統的な彫り物のモチーフなのか、あるいは好古斎または師匠の富種の好むモチーフなのか・・・?旧林家住宅の欄間にも、古代中国の故事「蘇武の故事」が彫られている。 有明山神社の拝殿の梁には祭神の一人である、「天照大神」の神話・・天岩戸のシーンが彫られている。(これは好古斎ではなく全く力量の異なる誰かの作) 拝殿の右奥には人口導水による小さな滝があって、「妙見 里の瀧」とあった。本物は有明山にある自然の大滝・・「妙見の滝」であるが、里宮でも見られるようにという親切からか・・・?遊び心からか・・・? この神社の手水舎は立派な建築で彫り物も素晴らしい。神門(裕明門)の格天井や神楽殿の格天井には立派な絵が描かれていてどれも素晴らしいのだが、神社全体を思うといろんなもののてんこ盛り・・といった印象がするのだが、どうだろう・・? 今回は好古斎の作品をたくさん見ることが出来、収穫でした。 なお、清水虎吉はいくつもの号を使っていて、ここ有明山神社(明治35年)では「東渓」を使っていました。 旧林家の作品では、本名清水虎吉と「好古斎」を使っているので、旧林家の説明やこのブログでは「好古斎」を使います。 K・M記